また急死した症例の基礎疾患については、学生・社会人の急死はほとんどが心臓疾患であり頭部血管障害がこれに続きます。潜在的に器質的心疾患を持っていて運動が誘因となって急死した症例が幾らかみられます。しかし、急死の原因をみきわめるため病理解剖を行っても、その原因が不明の症例がいくつかあります。健康診断、メディカルチェックを行ったとしても完全にスポーツ事故を防ぐことはできませんが、スポーツ事故の減少のために必要と思われます。
図1は学生についての運動が関与した心臓性急死の発生時間帯別状況を示しています。この図より9時〜11時、15時〜16時に多く発生をみました。富山県内で発生した昭和56年度〜昭和63年度の学生の心臓性急死例も図に含めてみました。この図より午前中に事故が多く発生していることがわかります。人間の身体はサーカディアンリズムというひとつのリズムの中で体内の環境を整えています。午前中に事故死が多いということは、午前中のトレーニングはサーカディアンリズムから不向きであると考えられます。午前中に激しいスポーツをするのであれば、十分な準備運動、整理運動が必要です。 |

図1
学生の運動が関与した心臓性急死の
発生時間帯別状況
(昭和58年度〜昭和60年度)
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