肩腱板損傷

Q18  
 中学時代からバドミントンを行っていますが、最近スマッシュをすると、肩が痛くなるようになりました。バドミントンは続けたいと思うのですがどうすればよいでしょうか。(高校女子)

 
A18  
 肩関節では、繰り返しの投球、バレーボールのサービス及びテニスやバドミントンのラケット競技のスマッシュなど、肩の外転を強制される運動によって種々の障害がみられます。回旋筋腱板が断裂までにはいかないが摩擦状態になり、運動痛が生じることがあります。これは「慢性衝撃性症候群」といわれているものです。この場合、肩は外転外旋位の時に運動痛が起こります。外転内旋位の時の運動痛であれば、上腕二頭筋の長頭腱(図1)の摩擦による腱の損傷です。この方の場合、特に肩関節の前面の圧痛(押すと痛い)がみられますので、前者の損傷と思われます。前腕を内側に回内しながら抵抗に抗して肘を屈曲させると、痛みが増強します。このテストをヤガソンテストといい、これにより診断することができます。

図1 上肩前面

 

《処置》

(1)急性期(程度にもよるがその障害がおきた直後)は冷却(冷やす、場合によっては消炎鎮痛剤の塗布)し、安静にする。(重症の場合はステロイド剤の注射を試みる) 
(2)痛みがおさまったら、温熱療法と運動療法を行い回復を図る。
  ※温熱療法・・・患部を温めることによって血液循環が良くなり、新陳代謝が高まるとともに筋や腱が弛緩して
           硬くなった組織が伸張しやすくなる。
  ※運動療法・・・ストレッチングや関節可動域訓練から徐々にはじめる。(温熱療法と組み合わせると効果的)

 これらを行っても改善がみられないときは、手術的療法がとられます。

《予防》

 肩のこれらの腱板、腱損傷は、小外傷の繰り返し使いすぎということが多いので、適正な練習量を心がけると同時に下記のことに気をつけ、痛みが生じたら早めに対処しましょう。

(1)練習前後のストレッチングを十分行う。
(2)普段から肩の筋力強化のトレーニングを行っておく。(図2) 
(3)自分にあった道具やフォームの改善などにも気をつける。

 



図2 肩の筋力強化トレーニング

 

 

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