●内科的メディカルチェック

Q2  
 内科的メディカルチェックはどのような目的で、どのようにして行われるのでしょうか。

 
A2  
 スポーツ中の突然死が時々報道されていますが、その原因は、ほとんどが心疾患や脳血管疾患などの心血管疾患です。35才以下の若年運動選手の突然死の原因として多いものは、肥大型心筋症、マルファン症候群、虚血性心疾患です。運動中の事故を未然に防ぐ目的で行われる健康診査が内科的メディカルチェックです。一般的には一次検査でチェックされた人が二次検査を受けます。

 

《一次検査》

【問 診】
 現在や過去の健康状態を本人からきくことを問診といいます。心血管疾患が疑われるような自覚症状や心疾患の既往がないかを調べます。

【血 圧】
 安静時の血圧を測定します。高血圧は虚血性心疾患や脳血管疾患の危険因子です。 境界域または軽症高血圧は、運動により改善される可能性がありますが、いつも中等度以上の高血圧の人では降圧薬を服用し、安定した状態で運動を行わなければなりません。(図1参照)

【血液・尿検査】
 虚血性心疾患の危険因子である糖尿病や高脂血症などをチェックします。また運動の障害となる貧血、肝・腎機能障害を検査します。

【安静時心電図】
 不整脈、心肥大、心筋虚血の有無を検査します。

【胸部X 線】
 心疾患、肺疾患の検査をします。

《二次検査》

【運動負荷心電図】
 心臓を運動中と同じ状態にし、安静時には認められなかった異常が出現しないかをみる検査です。虚血性心疾患の発見、運動に関連したどうき、失神などの自覚症状と不整脈との関係を明らかにすること、運動時の血圧の変化をみることなどが主な目的です。(図2)

【心臓超音波検査】
 心臓肥大や拡張、大動脈の拡張などの有無や心機能を評価し、心臓がスポーツの実施に対して危険かどうかを判断します。

【24時間ホルター心電図】
 携帯型の心電図記録装置を身体に付け、運動中の自覚症状が不整脈や心筋虚血によるものかどうか、また自覚症状がなくても危険な不整脈が出ていないかをみる検査です。 


 内科的メディカルチェックで突然死をおこす可能性のある疾患が発見されたときは、治療を受ける必要があります。また、運動の制限も必要です。一次検査でチェックされても、二次検査であきらかな異常が指摘されなかったときは、スポーツは継続可能です。しかし、一次検査で異常が認められなくても、突然死の可能性が全然ないわけではありません。スポーツを行うときは、体調や自覚症状に注意することが重要です。

 

 

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