筋・筋膜性腰痛

Q24  
 バレーボールのアタックの時に腰痛があり、ふだんも長く立っていると腰痛があります。近くの整形外科で診てもらいましたが、骨には異常がないと言われました。これはどういうことなのでしょうか。またどうすれば腰痛は治るのでしょうか。 (16才女子バレーボール部)

 
A24  

 発育期のスポーツ選手に多くみられる腰痛としては、(1)脊椎分離症 (2)椎間板ヘルニア (3)筋・筋膜性腰痛などがあります。この選手の場合、レントゲン検査で骨などには異常がなく、知覚障害や筋力低下もないので、(1)(2) は否定的です。腰椎の運動制限や腰部全体の筋肉のこわばりがあり、下肢の筋肉(大腿四頭筋、ハムストリング)のつっぱりが強いので、(3)の筋・筋膜性腰痛だと思われます。下肢の筋肉がつっぱっていると、腰はおしりを突き出して胸をそらした姿勢(腰椎前湾の増強)をとってしまいます。この不良姿勢のため、背筋に持続的なストレスがかかり、腰痛を生じます。

 

《予防と対策》

(1)下肢の筋肉(大腿四頭筋、ハムストリング)のストレッチングを行う。(図1・図2)

(2)姿勢の改善を心がける。
 ・長く立つような場合は片足を台の上に乗せる(図3)などして腰に負担がかからないような姿勢をとる。
 ・運動後、腰椎前弯を緩和する姿勢(図4)をとり、筋肉を完全にリラックスさせる。


(3)日頃から筋肉の状態をチェックしておく。
 ・上向きに寝て、膝を伸ばしたまま下肢を90度まで持ち上げます。 この途中でお尻が上がったり、
 膝が曲がったりしたら拘縮があります。
 ・うつぶせに寝かせ、踵がお尻につくまで膝を曲げます。この途中でお尻が持ち上がったり、お尻につかなかったら
 拘縮があります。

 ※拘縮がある場合の障害について
  ・ランニングやジャンプなどの動作で膝やアキレス腱周囲に炎症をきたしやすい。
  ・腰椎が不良姿勢をとることが多く、腰痛を生じやすい。

(4)筋力トレーニング
 腰痛がある人にとっては、腰への負担がかからないよう行うことが大切です。例えば、腹筋運動では、膝を屈曲し、頭が少し持ち上がる程度に腹筋を収縮させます。そして、その姿勢を5 秒維持するようにします。これだけで十分なトレーニング効果が得られます。背筋については、足を伸ばして座ります。そして、背中を後ろから支えてもらい、それをはねのけるように背筋に力をいれます。そうすれば腰をそらすことなく、背筋の収縮を得ることができます。

《鑑別疾患》

 腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症

 

 

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