競技スポーツにおいて、あるいは趣味のスポーツにおいても膝の靱帯の損傷は起こりやすい傷害の一つといえます。これらの損傷が起こると、膝がぐらつく(力が抜けたような感じがする)、膝がひっかかる様な感じがする、時によっては突然膝が曲がらない、伸びないといった症状がでることもあります。 靱帯(ligament)とは主に骨どうしをつないでいるスジのことをいい、筋肉と骨をつないでいる腱(tendon)とは区別していますが、膝周囲の靱帯には次のようなものがあります。
【前十字靱帯】
下腿(すね)が前方にずれることを防いでいる靱帯で、これが損傷すると踏ん張りが効かなくなります。走ってきて止まろうとしたり、階段昇降などで膝がズレルような感じがするといった症状がでてきます。治療法は現在のところ手術がもっともよいようです。
【後十字靱帯】
下腿が後方にずれることを防いでいる靱帯で、損傷すると前十字靱帯と同様に、膝がズレル感じがしますが、手術以外に大腿四頭筋などの筋力アップで、カバーできることもあるようです。
【内側側副靱帯】
膝の外反を予防する靱帯です。仁王立ち(脚を開いて立つ)の状態で屈伸運動をすると痛みがはしる場合があります。この靱帯が単独で損傷した場合には、手術をしなくてもよくなる場合がありますが、内側半月や前十字靱帯の損傷を伴っている場合もあり、注意が必要です。
【外側側副靱帯】
膝の内反を予防する靱帯です。損傷が起こっても、ほとんどの場合筋肉の力で代償できるようです。
《処置》
受傷時はRICE
療法(安静、冷却、圧迫、挙上)を行います。腫れや痛みの強い時は専門医の診断が必要です。レントゲンやMRI
にて靱帯損傷の程度を確認します。時には手術が必要となります。 |
《予防》
まずは、大腿四頭筋の筋力強化を十分に行ってください。症状によっては、装具やサポーターを使用します。 |
《鑑別疾患》
膝半月板損傷、変形性関節症
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