シンスプリント

Q33  
 高校に入ってから陸上部で1 日2 〜3km 走っています。入部1か月頃からランニング中に両方のすねが痛くなり、10日間程休んだら痛みが軽くなりました。今までに同じようなことを2〜3回繰り返しています。近くの医院ではX線上に異常が無く、過労性骨膜炎と言われました。治療と予防法について教えて下さい。(16才陸上短距離選手)

 
A33  
 両側に軽い扁平足、両脛骨の中央部から下1/3後内縁(すねの内側下部、図1参照)に腫れと強い圧痛(圧迫すると痛い)があり、足関節や足趾(指)を底屈(足底側に曲げる)させながら抵抗を加えると痛みが増強すること、X線検査で異常のないこと等から脛骨過労性骨膜炎(シンスプリント)と診断できます。

これは、足関節や足趾を底屈する筋肉の脛骨起始部に、繰り返し加えられるストレスによって起きる骨膜の炎症であると考えられています。中学や高校に入学したての新人や、オフ、試験明けのハードな練習後に発症しやすく、男性よりも女性に多くみられるようです。一般にはコンディションの不十分な時期に、トレーニングの量や内容が適当でなかったり、扁平足や回内足、あるいはシューズの磨耗や薄いシューズ等、シューズが適切でなかった時などに発生しています。

 

《処置》

・練習量を少なくし、ランニングの距離を減らす。走るスピードを遅くする、全力疾走をやめる。
・練習前後のストレッチングを十分行う。
・練習直後には氷によるアイシングを行う。
・消炎鎮痛剤のクリームを塗布する。
・靴の中に扁平足用の足底板(アーチパッド)を入れる。
・痛みや腫れの強い時には、超音波や渦流浴、ホットパック等の理学療法を行う。


《予防と対策》

(1)ランニングやジャンプの量を少なくし、ジャンプ着地時には深くしゃがみこまないようにすること。
(2)十分にウォーミングアップをし、運動前後や入浴後にはストレッチングを行う。ストレッチングは、図2のように
 膝を伸ばして、更に軽く曲げて腓腹筋、ひらめ筋(ふくらはぎの筋肉)をストレッチする。
(3)足関節を背屈(足の甲の方向へ)する筋肉の筋力強化を行う。更にチューブやカーフェイス(踵上げ)、
 タオルギャザー等によって筋力強化を行う。(図3 、図4 、図5参照)
(4)土、芝生等柔らかい路面でのランニングに切り換え、カーブの繰り返しを避けて逆回りも行う。
(5)クッションのよいシューズを履き、磨耗して薄くなったシューズは取り替える。
(6)回内足や扁平足等のある場合には、ヒールウェッジやヒールパッドを使用する。
(7)体重(体脂肪量)を管理する。
(8)その場片足跳び(片足けんけん)でチェックして、痛みが無くなったら早歩き、軽いジョギング、ランニングへと
 移るようにする。

《鑑別疾患》

 脛骨疲労骨折


 

 

目次へ