| 右下腿上1/3、内側に軽い腫れと圧痛(圧迫すると痛い)、熱感があり、走ったりボールを蹴る時に疼痛がある。X線検査で右脛骨上1/3、後内足に僅かに盛り上がった淡い均質な骨の肥厚がみられ、その中心部あたりに軽度の亀裂状の骨折線がある等のことから、典型的な疲労骨折と診断できます。  亀裂状の骨折線がなおみられることから、自転車こぎ以外のスポーツ活動を中止し、勝手に走ったり、練習を始めたりしないように注意する。2週間後(発症後5週)のX線では亀裂像がまだ残っているものの骨の膨隆はやや強くなり、5週後(発症後8週)には亀裂像が不明瞭になる。仮骨部はさらに硬化し、外側にも骨が膨隆して厚くなり、圧痛も殆ど消失したので軽いランニングを再開、発症後12週にはサッカーが支障なく行えるようになりました。  骨も金属疲労と同じように、軽微な外力の繰り返しによって、骨折してしまいます。疲労骨折といわれるもので、スネの骨(脛骨)に発生することが最も多く、スネの外側の細い骨(腓骨)や、足の骨(中足骨)などにもみられるものです。ランニング等によって起こる疾走型と、ジャンプ動作の多いスポーツ種目で発生する跳躍型の疲労骨折がありますが、前者は本例のように脛骨の上、下部に発生することが多いようです。後者は脛骨の中央部に発生しますが、前者に比べて難治性です。   《処置》                 
                  
                    
                      | ・疼痛をきたすすべてのスポーツ活動を中止すること。 ・単なる歩行でも痛みのあるときは、杖歩行で体重を負荷しないこと。
 ・疼痛のない動作や運動は行ってもよい。
 ・自転車こぎや、水泳、上肢の筋力強化などは行ってもよい。
 ・痛みがない等の理由で勝手に走ったり、練習を再開しないこと。
 ・X線検査で仮骨がある程度硬化し、圧痛が消失した時点で、軽く走ってみて痛みがなければ徐々に運動量を増やすようにする。
 |  《予防と対策》 
                  
                   
                     
                      | (1)徐々に運動量を増やし急激にトレーニング量を増やさないこと。 (2)衝撃吸収の良い靴を使用すること。
 (3)過回内足のある場合には、ヒールウエッジを使用すること。
 (4)同じ跳躍動作を集中的に行ったり、ウサギ跳びなどの誤った
 トレーニングを禁止すること。
 (5)練習による疲労がたまらないように注意し、練習の軽い日や
 完全休養日を積極的にとりいれること。
 (6)痛みが出てきた時には、ランニングの量を減らし、走る場所
 の変更を考えること。
 (7)舗装された硬い路面での走行をさけること。
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