アキレス腱炎

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 中学校から陸上競技を始め、現在は大学で陸上部に所属し、ハードル競技を行っています。4年ほど前にアキレス腱が痛くなりアキレス腱炎といわれました。それからよくアキレス腱に痛みが生じ、今年の2月頃から痛みが強くなりアキレス腱がはれて走れなくなりました。練習を休むと痛みは軽くなり少しずつ走れるようになるのですが、不安で思いっきり走ることができません。(21才男子陸上競技選手)

 
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 アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)とかかとの骨をつなぐ体の中で一番太い腱です。この腱はじょうぶでほとんど弾力性がなく、ふくらはぎの筋肉の力をかかとの骨に伝える役目をしており、つま先立ちやランニングなどの動作を可能にします。(図1)アキレス腱炎は、アキレス腱及び腱のまわりの組織に炎症を起こした状態で、腱のまわりの炎症をアキレス腱周囲炎といいます。
 

《原因》

(1)ふくらはぎの筋肉が急激に収縮した時にアキレス腱が過緊張され、アキレス腱に微小な断裂が起こる。
(2)長時間のランニング等による摩擦。 
(3)連続したジャンプ動作などによりアキレス腱に過度のストレスがかかる。
(4)ふくらはぎの筋肉に柔軟性が欠け、固く、短くなり、アキレス腱が絶えず緊張している。
(5)着地時にかかとが内側か外側へ回転することにより、アキレス腱にストレスがかかる。
(6)その他、練習場所など

 主な症状としては、痛み、腫れなどで、初期には練習以外に痛み練習中には痛みが消える場合もありますが、徐々に痛みが強くなりひどくなると慢性の痛み、腫れ、さらに進むと血行障害が起きたり、しこりができたりします。

 この方の場合、現状では腫れがなく、柔軟性もあるので問題ないように思われますが、アキレス腱(周囲)炎は再発しやすく慢性化するとやっかいです。アキレス腱の痛みの原因を探って、しっかりと対処し、早い時期に治すことが大切です。

《処置》

・急性期には消炎鎮痛剤を塗布し、2週間ほどの休養をとる。
・炎症が治ったら、患部を温めてふくらはぎのストレッチングを行う。
・アキレス腱の痛みの原因を調べ、対処する。
 (例)練習内容・練習量・練習場所の見直し、筋力トレーニング、シューズの改良など。

 ※慢性的な痛みは、アキレス腱自身に原因をもつ場合もあり、医師の診断を勧める。

《予防と対策》
(1)練習前には温め、練習後は冷やす。(アイシング)
(2)普段からストレッチングを十分に行い、筋肉や腱の
 柔軟性を保つ(特にふくらはぎ)。(図2)
(3)休息を入れた運動メニューを心がける。
 (同じ動作を長時間繰り返さない)
(4)コンクリートや固い床での練習はさける。
 

《鑑別疾患》

 踵骨部滑液包炎、踵骨骨端炎

 

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