夢にまで見た、シドニー五輪。
 終わった今、様々なことが思い出される。
 本番に向けて、国内外で長期合宿を繰り返した。
 高地トレーニングなるものを2回体験した。帰省しては、荷物を作り直し、また、次の合宿というスケジュールだった。
 その間、自分のために、加藤コーチを独占し、メンバーにも本当に申し訳ないことをした。
 また、卒業が延びると分かっていたが、泳ぎに専念するため、大学を休学した。各方面の温かい支援のおかげで、可能な限りのことができた。
 そして臨んだレース。スタート台に立っても不思議と緊張しなかった。憧れのハケットと同じ組で泳ぐことに武者震いさえ覚えた。いよいよスタート。終盤、リズムが微妙に崩れ始め、気持ちを強く持とうとしたが、体がついてこなかった。タッチしてタイムを確かめる。ベストタイムをわずか4秒縮める結果に終わった。
 完全燃焼できたかと尋ねられたら、何と答えようか迷ってしまう。
 ただ、今回の感動と悔しさが、何物にも代え難い財産になったことは間違いない。

富山スイミングパレスの選手へ五輪報告

 秋からは大学生、新たな生活が始まる。学ぶことが泳ぐことに生き、泳ぐことが学ぶことに生きたらと願っている。もちろん、甘くない。現実の厳しさに直面することも多いだろう。あらゆることに恵まれていた、これまでとは異なり、食生活から泳ぎ・トレーニングにいたるまで、頼れるのは自分自身だから。しかし、自分が選択した道だ。前に進むしかない。
 4年後、オリンピックにどう関っているか、すべては、自分自身にかかっていると思う。
 大好きな水泳だから、全く苦にはならない。挑戦あるのみだ。

 最後に書面をお借りして、応援していただいた大勢の皆さんに感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
 本当に本当にありがとうございました。