県民のスポーツ活動の多様化、高度化にともない、指導者に対するニーズが高まっています。
このため、本県スポーツ振興の方向性を踏まえ、学校体育・スポーツ、コミュニティスポーツ、アウトドアスポーツ、チャンピオンスポーツの各領域において、指導を求める人々のニーズに適切に応えることができる指導者の養成・確保と資質の向上に努めます。
また、市町村の非常勤公務員として、地域住民のスポーツ振興に重要な役割を担っている体育指導委員の資質の向上に取り組むとともに、スポーツの専門知識や技術を有する人材の派遣制度の充実を図り、市町村のスポーツ振興を支援します。
さらに、養成された指導者の活用を積極的に推進するとともに、指導を求める人々が容易に必要な指導者情報を入手できるよう、スポーツリーダーバンク制度を充実します。
1 教員の資質の向上と指導体制の充実
児童生徒の心身の健全育成と生涯にわたるスポーツ実践の基礎を培うという学校体育・スポーツの意義を踏まえ、指導の充実を図るため、教科体育及び運動部活動の指導に携わる教員の資質の向上に努めるとともに、指導体制を充実します。
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○保健体育教員の資質の向上
学習指導要領に準拠し、科学的な体育理論に基づき、児童生徒の発育・発達や個人差など、一人ひとりの能力に応じた指導が行えること。
また、小・中・高等学校の各段階において、より効果的に指導を行うためには、各校種間における指導の一貫性、連続性を図ることが重要となっています。
このため、指導理論や実技などの講習・研修、授業研究などを充実に努めます。
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○体育専科教員の配置
健康で明るくたくましい子どもたちを育成するとともに、生涯スポーツ実践の基礎を培ううえで、児童期の適切な指導が大変重要となっています。
このため、小学校体育専科教員を引き続き配置します。
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○運動部活動指導教員の資質の向上
部員の自主的・自発的活動を指導の基本理念に、競技の専門的な技術指導やスポーツ医・科学に基づく合理的・効果的なトレーニング指導などが適切に行えることを重点として、専門実技研修やスポーツ医・科学などの研修などの充実に努めます。
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○運動部活動への地域の指導者の導入拡大と資質の向上
運動部活動の指導体制を充実するため、地域のスポーツ指導者の導入を拡大するとともに、部活動指導教員と地域の指導者が連携・協力のもとに適切な指導が行えるよう、指導理念や活動のあり方などについて、両者が研修できる機会を整備します。
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2 コミュニティスポーツ指導者の養成
地域住民の潜在的なスポーツニーズの掘り起こしやスポーツの生活化を促進していくうえで、コミュニティスポーツ指導者の担う役割が重要となっています。
コミュニティスポーツ指導者には、次のような資質が求められています。
1 |
スポーツの技術指導のみに偏ることなく、スポーツの楽しさや交流の喜びなどを伝えることができること |
2 |
地域におけるスポーツ大会やイベントなどを企画・立案・運営できること |
3 |
総合型地域スポーツクラブの育成・定着に主体的に携わることができること |
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○県生涯スポーツ指導員養成講習会などの充実
地域住民のニーズに適切に対応できるコミュニティスポーツ指導者を養成するため、本県が独自に開催している生涯スポーツ指導員養成講習会のカリキュラムを改訂・充実するとともに、リーダーバンク登録指導者研修会の充実に努めます。
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○少年スポーツ指導者の資質の向上
スポーツ少年団や少年スポーツクラブの活動を充実し、将来にわたって運動好きな子どもたちの育成に資するため、指導者の研修機会の充実に努めます。
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3 アウトドアスポーツ指導者の養成
自然の中での活動や自然とのふれあいを求めて、アウトドアスポーツに対する人気が高まりを見せています。
特に、本県では、雄大な立山連峰一帯をエリアとした登山やキャンプが幅広い年代層の間で親しまれています。
一方、登山やキャンプ人口の増大に伴い、知識や技術などの未熟さから生じる事故の増加や自然保護。自然との共生のあり方などに対応した取り組みが重要な課題となってきています。
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○安全登山指導者養成講習会の充実
登山、キャンプなどの安全で正しい技術、自然との関わりのあり方、マナーなどについて、適切に指導できる指導者を養成、確保するため、これまで開催してきた安全登山指導者養成講習会の充実に努めます。
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○多彩なアウトドアスポーツに対応した指導者養成の検討
近年、海域、河川、空域などを利用した多彩なスポーツ活動が急速に広まりつつあることから、これらの活動に対応した指導者養成のあり方について検討します。
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4 チャンピオンスポーツ指導者の養成
全国や世界のひのき舞台で活躍できる選手を育成していくためには、競技のトップレベルに焦点を合わせた強化計画の立案や選手個々の能力に応じた指導を行うことができる優れた指導者、また、競技力向上をサポートする人材を継続的に養成・確保していくことが不可欠です。
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○指導者の養成と資質の向上
競技団体と連携を図り、国内外の優秀指導者の招聘、最新のスポーツ医・科学の研究成果等に基づく質の高い魅力ある研修機会の提供に努めます。
また、国の研修機関(ナショナルコーチアカデミーが整備予定)での研修を促進するとともに、スポーツ先進諸国との相互交流を進めます。
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○次代を担う指導者の養成
現在、活躍している選手などの人材は、将来の指導者であるとの展望に立ち、国や中央競技団体などが開催している総合的、体系的な研修会・講習会などへの参加を促進します。
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○競技力向上をサポートする人材の確保
選手の健康管理はもとより、競技力をより効果的・効率的に高めたり、競技会等において、選手の能力を十分に引き出したりするためには、スポーツドクターや、医・科学トレーニング、メンタルトレーニング、スポーツ栄養などの専門指導者によるサポートが重要です。
このようなサポートが適切に行われるよう、関係機関や専門指導者などと連携を図り、指導体制の充実に努めます。
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○審判員の資質の向上と継続的な養成
審判レベルの向上は、全国的、国際的大会などの開催や円滑な運営のみならず、競技の質の向上にも大いに寄与します。
このため、競技団体に対し、審判員の資質の向上と継続的な養成を促します。
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5
体育指導委員の資質の向上
体育指導委員は、市町村が委嘱している非常勤公務員です。
コミュニティスポーツ指導者として、スポーツの技術指導のほか、スポーツに関する様々な指導・助言、各種スポーツイベントなどの企画・立案・運営に携わるなど、市町村スポーツ振興、引いては、本県スポーツ振興に大きく寄与しています。
一方、県、市町村では、これからのスポーツ振興にあたり、総合型地域スポーツクラブの育成が大きな課題となっていることから、体育指導委員には、オーガナイザーとして、また、行政と地域住民を結ぶコーディネータとしての役割も期待されています。
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○県体育指導委員協議会への支援
体育指導委員の資質の向上と各種団体及び相互の密接な連携・協力に基づいた主体的活動を一層推進するため県体育指導委員協議会の活動を支援します。
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6
市町村派遣制度の充実
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○派遣スポーツ主事制度の継続
県では、市町村スポーツ行政及びスポーツ指導体制の充実に資するため、県内全市町村にスポーツ主事を派遣しています。
派遣スポーツ主事が市町村スポーツ振興に果たす役割は大きく、また、新たな課題も生まれています。市町村からの派遣要請も強いことから、全市町村への派遣を継続します。
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○派遣スポーツ専門員制度の整備
市町村では、国体を機に整備されたスポーツ施設などを有効に活用して、
1 総合型地域スポーツクラブの育成
2 「わがまちのスポーツ」の定着・発展と競技力の向上
3 学校体育・スポーツと地域との連携
などを図る取り組みが、これからの重要な課題となっています。
市町村のこのような取り組みを支援するため、派遣スポーツ主事制度に加えて、新たに、派遣スポーツ専門員制度を整備し、市町村スポーツ施設などに対し、スポーツの専門知識や技能を有する人材を派遣します。
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7 スポーツリーダーバンク制度の充実
スポーツリーダーバンクは、地域や職場のスポーツクラブなどからの要請に対して、適切な指導者を紹介する制度として設置されたものです。
現在、本県では、4,000名余りの指導者が登録しています。また、登録領域も多様な技能レベルに対応できる各種スポーツの実技指導者やスポーツプログラマー、トレーナー、スポーツドクター、学識経験者など、多岐にわたっています。
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○有資格指導者の登録拡充と指導者情報提供システムの整備
県民のスポーツ活動を推進していくうえで、指導を求める人々のニーズに応じ、適切な指導者を紹介できることが大変重要となっています。
このため、有資格指導者の登録を拡充するとともに、登録指導者の理解を得て、インターネットを通じた指導者情報の提供・活用システムの整備を図り、制度の有効活用を促進します。
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8 スポーツ顕彰制度の充実
県では、県功労者表彰、県教育委員会表彰により、優秀選手・チーム・団体やその指導者、スポーツ団体役職者、地域のスポーツクラブなどを顕彰するとともに、県スポーツ奨励賞を制定し、子どもたちから高齢者までのスポーツ活動を奨励しています。
一方、これからのスポーツ振興にあたっては、地域において、スポーツの普及や指導に地道に取り組んでいる人、ボランティアとして自発的・主体的にスポーツを支えている人などを適切に顕彰し、このような活動を奨励していくことも求められています。
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○県スポーツ奨励賞の拡充
地域で献身的に活動しているスポーツ指導者やボランティアを適切に顕彰するため、県スポーツ奨励賞を拡充します。
また、市町村、団体、民間においても、同様の趣旨から、必要に応じ、顕彰制度を見直されるよう期待します。
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県体育協会、県生涯スポーツ協議会などのスポーツ団体は、本県スポーツの普及・振興や競技力向上の推進母体として大きな役割を担っています。
また、これからのスポーツ振興にあたっては、団体相互の連携・協力のもとに、一体的に取り組むことが不可欠となっています。
このようなことを踏まえ、各団体の自主的・主体的活動を支援するとともに、各団体がそれぞれの独自性を保持しつつ、より協調してスポーツ振興にあたることができるよう、本県スポーツ団体の組織が一元化されるよう期待します。
また、近年、新たに誕生してきているニュースポーツ、アウトドアスポーツなどの新興スポーツ団体の健全な育成に努めます。
1 県体育協会(加盟団体)
県体育協会は、加盟団体である、競技団体、中・高体連、市町村体育協会などと連携し、本県スポーツの普及・振興、競技力の向上、指導者の養成などに取り組むとともに、スポーツ少年団活動を支援しています。
また、県西部体育センター、県高岡総合プールなどの県スポーツ施設の管理・運営を担っています。
これまで、県民体育大会などの開催や記録会、強化練習会、合宿・遠征などの実施、医・科学トレーニングの積極的な導入などに努め、スポーツ人口の拡大や競技力の向上に大きく寄与してきました。
2000年とやま国体においても、本県の競技力向上に大きな役割を果たしてきました。
国体後においても、生涯スポーツ社会の実現に向け、加盟団体などとの連携を一層強化し、本県のスポーツ振興を総合的に推進していくことが期待されています。
県体育協会に期待される具体的役割
1 |
競技力の維持・向上やスポーツの普及・振興に向け、加盟団体に対する指導・調整を充実し、体系的・継続的な強化、普及を推進すること。及び、指導者の養成・確保並びに資質の向上に努めること。 |
2 |
総合型地域スポーツクラブの育成に主体的に関わるとともに、加盟団体、スポーツ少年団に対する啓発に努めること。 |
3 |
スポーツ少年団の健全な育成と活動の充実を推進するとともに、指導者の養成と資質の向上に努めること。 |
4 |
本県最大のスポーツの大会にふさわしいものとして、県民体育大会を充実すること
。 |
5 |
県スポーツ施設の利用促進を図るため、県民が利用しやすい施設運営に努めることなどが、県体育協会に与えられた課題と考えます。 |
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○県体育協会に対する支援
今後、県体育協会が担う役割を踏まえ、活動を支援するとともに、事務局体制の充実・強化を図ります。
併せて、加盟団体に対する指導、支援、連絡・調整などの機能強化を図ります。 |
2 県生涯スポーツ協議会(加盟団体)
県生涯スポーツ協議会は、県民スポーツ・レクリエーション祭夏季・冬季大会やニュースポーツ体験事業の開催、指導者の派遣などを通して、スポーツ・レクリエーションの健全な普及・発展を図っています。
また、高齢者、障害者の健康・生きがいづくりや社会参加の促進に努めるなど、コミュニティスポーツの振興に大きな役割を果たしています。
このような活動に加えて、総合型地域スポーツクラブの育成に主体的に関わるとともに、加盟団体に対する啓発に努めることが求められています。
一方、平成22年には、本県において、第23回全国スポーツ・レクリエーション祭が開催される予定になっていることから、今後、開催に向けた種目の普及・振興や運営体制の整備が求められています。
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○県生涯スポーツ協議会に対する支援
県民のスポーツ・レクリエーション活動を一層振興するため、県生涯スポーツ協議会の活動を引き続き支援します。
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○全国スポーツ・レクリエーション祭に向けた支援
全国スポーツ・レクリエーション祭の開催に向け、事務局体制の充実を図ります。また、大会開催種目の普及・振興と審判員、運営役員などの計画的な養成・確保に向けた協議会の主体的な取り組みを支援し、加盟団体の基盤を強化します。 |
3 中学校体育連盟、高等学校体育連盟
中・高体連は、学校体育大会の計画的な開催などを通じて、運動部活動を積極的に推進しています。
運動部活動は、中・高校の時期の心身の健全な発育・発達や生涯にわたるスポーツ実践の基礎を築く重要な意義を有しています。
一方、少子化に伴う生徒と指導教員の減少などにより、部員が不足し部活動が維持できない、十分な指導体制が確保できないなどといった状況が拡大しています。また、学校週5日制も施行されることから、生徒のスポーツ活動の充実に向けた取り組みが新たな課題となっています。
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○中学校体育連盟、高等学校体育連盟に対する支援
大会の開催や全国大会などへの選手派遣費を補助するなど、中・高体連の活動を引き続き支援します。
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○地域との連携の促進
少子化に伴う運動部活動の課題や学校週5日制を踏まえ、複数校による合同部活動実施と合同チームの大会参加に向けた条件整備、地域の指導者の受け入れ拡大、今後育成が期待される総合型地域スポーツクラブとの連携などに向けた中・高体連の主体的な取り組みを促進します。 |
4
スポーツ少年団
スポーツ少年団は、スポーツを通じた心身の健全育成を目的として結成されたものであり、本県では、団員の大半は小学生が占めています。
この時期は、生涯にわたってスポーツに親しんでいく基礎づくりの重要な時期であり、発育・発達段階を十分踏まえて指導に当たるとともに、複数種目制やシーズンスポーツ制などの導入を図り、スポーツの持つ「楽しさ」などの魅力を十分に伝えることが大切です。また、異年齢、異質集団との交流などに積極的に取り組むことも必要です。
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○スポーツ少年団に対する支援
スポーツ少年団活動の望ましい発展に資するため、指導者を対象とした研修会・講習会及び県内・外(海外)の交流大会の開催を支援します。
また、今後育成が期待されている総合型地域スポーツクラブへの加入を促すとともに、小・中・高を通じた一貫指導を実現するため、競技団体との連携を促進します。
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