●熱中症

Q16  
 テニス部に所属していますが、テニスの練習をしていたところ、休憩中に気分が悪くなりました。曇っていても、日射病になるのでしょうか?また、どんなことに注意したらよいでしょうか。(高校男子)

 
A16  

 高温多湿下で激しい運動をした時などに起きるからだの障害を熱中症と言います。

 病気による体力低下、激しい運動、飲酒、睡眠不足、トレーニングの不足などで起こりやすくなります。その程度によって熱けいれん、熱疲労、熱射病に分類され、特に頭頚部が太陽光線に直接照射されて発生する場合を、日射病と呼びます。


【日射病】
 日光の中には各種の放射線が含まれ、可視光線より波長の大きい赤外線(810μm- 5NN )は熱線とも呼ばれます。
その熱作用による皮膚血管の拡張と運動による筋肉への血流の増加に対して、心臓の働きが対応できなくなっておこる一種の循環失調です。発汗が著明で頻脈、低血圧、顔面蒼白、失神がみられますが、体温は正常か低下しています。

【熱性けいれん】
 大量の発汗により水分や塩分が失われた時に、水分のみを取って食塩の摂取が不十分な場合に疼痛を伴う四肢の筋肉のけいれんを起こすことがあり、同時に腸管平滑筋のけいれんのため腹痛を訴えることもあります。体温は正常か軽度上昇する程度です。

【熱疲労/熱射病】
 脱水が増悪し、うつ熱がさらに進行すると、体温調節機構(輻射・伝導・蒸散)が失われ、各臓器に障害があらわれます。熱疲労はその前段階で、障害がでた段階を熱射病と言います。皮膚は乾燥し、体温も41 ;以上になります。脱力感、頭痛、めまい、はきけ、食欲不振、精神錯乱、せん妄状態、意識喪失がみられます。



図1

 

《処置》

・軽い場合は、涼しい所に運び、着衣をゆるめ、仰向けにし足の方をやや高くし(ショック体位)、飲料水を飲ませます。
・冷たいタオル、氷片、またはアルコール綿で全身をマッサージし、扇風機やクーラーなどの涼しい風をあてるのもよいでしょう。
・体温が高く、意識の回復が悪いようならば、点滴や急速な体温冷却が必要ですので、できるだけはやく医療機関を受診させて下さい。

《予防》

(1)炎天下や高温多湿下の室内での長時間の激しい運動を避けることが大切です。
(2)運動中および後には、塩分の入った飲用水を十分とるようにします。

 

 

目次へ