椎間板ヘルニア(成長期)

Q23  
 2年前にスキー中にコブ斜面で転倒したあと、咳やクシャミでも右足にひびく鋭い腰の痛みが出現、近医を受診し、約1か月間の保存治療で軽快退院しました。その後スポーツを始めると再発します。現在右下肢の外側に軽いしびれがあり、腰の重い感じや頼りない感じが残っています。柔道、サッカー、野球などのスポーツをやりたいのですが、どのようなトレーニングが必要でしょうか。(17才、男子)

 
A23  

 立位前屈で手が床に届かず、右下肢の拳上70度で腰から下腿に放散する痛みがあるようです。また、右下肢の外側に軽度の知覚鈍麻や筋肉の萎縮もみられます。このような症状は坐骨神経の刺激症状で坐骨神経痛といいます。上体の起き上がり保持テスト、反り返りテスト(図1)で体幹を保持する腹筋や背筋の低下も目立ちます。急激に坐骨神経痛を来たすスポーツ傷害としては椎間板ヘルニアが代表的ですが、成長期にはオーバートレーニングにより腰椎の成長軟骨がすべる、腰椎終板障害もあります。椎間板ヘルニアや終板障害では、時に手術が必要なこともありますが、多くの場合運動療法で治ります。脊椎、股、膝の柔軟性を高めるとともに、体幹の筋肉の強化に努めてください。


《処置》

・ストレッチングを行う。(特に下肢と脊椎)
・体幹筋の強化を行う。保持テスト、反り返りテストが1分間以上保持できるようになるまで腹筋、背筋の筋力を高める。
・水泳、ウォーキング、ジョギングなどできる種目を可能な範囲で行う。
・ウェイトトレーニングを行う。指導員の指導・監督下で行う。
・ランニングは最初はできるだけ遅いスピードから始め、徐々にスピードを増す。

《予防》

 スポーツ時には日常生活の何倍もの力が体にかかります。スポーツに耐えられる体幹の筋肉強化が必要です。一方、成長期の脊椎軟骨は傷つきやすいので偏った練習方法、練習量には注意が必要です。椎間板ヘルニアであっても、筋力維持の面から可能な種目のスポーツは続けることも大切です。

《鑑別疾患》

 発育期終板障害、急性腰痛症(ギックリ腰)、脊椎分離・すべり症など。

 

 

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