腰椎分離症

Q25  
 小学校4 年生頃から体操競技を続けていますが、最近、腰痛と腰の疲労感が気になります。原因と予防法を教えて下さい。(中3女子)

 
A25  

 若いスポーツ競技者で腰痛を訴える場合はしばしばみられます。筋・筋膜性腰痛や、椎間板ヘルニア等も考えられますが、運動時の慢性的な腰痛では、脊椎分離症の可能性が高いと思います。野球、体操、バレーボール等、腰部に屈伸、ひねりの繰り返される負荷により、腰椎後方の椎弓根部に疲労骨折を起こし、分離症となります。(図1)診断を確認するためには、レントゲンが有効です。この分離症を放置してスポーツ活動を続けると、後々に腰椎にズレが起こり、すべり症に進行していきます(図2)ので、できるだけ早期の治療が必要です。


《処置》

 分離症の進行過程は、レントゲンの所見により、初期、進行期、終末期の三期に分類されます。初期型は、低学年に多く、発症早期であれば、数カ月間のスポーツ活動休止と軟性コルセットの使用で、分離部の骨性癒合が得られ治癒となります。 
 しかし、終末期では、骨癒合の見込みは少なく、体幹筋力強化を主体とした対症治療で、腰痛の改善と、腰椎すべり症の予防を考慮すべきであります。腰痛が強く、保存治療の無効な場合には、手術治療が適応となります。

《予防》

(1)腰部への負担の軽減。少年期のスポーツ選手は1日2時間を目途とした練習量とする。
(2)腰筋、腹筋を強化する。
(3)レントゲン検査で、分離症の早期発見に努める。

《鑑別疾患》

 腰椎椎間板ヘルニア、筋・筋膜性腰痛症

 

 

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