膝関節の腫れや不安定性はなく、内側の関節の隙間をおすと痛みがあり、膝を完全に伸ばすと内側後部に痛みが出現することから、内側半月損傷を疑います。
半月(半月板)は半月状の線維軟骨からできており、膝関節の内側、外側において大腿骨と脛骨との間を埋め、緩衝用パッドの役割を果たしています。すなわち関節の安定性と衝撃吸収機構を担っています。(図1)
【損傷機転】
膝に体重がかかった状態で無理にひねったり、過度に伸ばしたり、曲げたりしたときに生じます。
【症状】
受傷時に痛みを自覚しないこともあり、多様であるが、時間の経過と共に症状は重くなっていきます。これは、半月という軟骨が血液供給を受けていない組織であるため、一旦、断裂が生じると自然に治ることはなく、最初は、ごくわずかな断裂であっても、そのままスポーツを続けると、それが大きくなってくることから説明することができます。そして、断裂が大きくなるとその切れ端が膝の異常な部位に滑り込んでしまい、次のような半月損傷に特徴的な症状を示すようになります。
(1)膝を完全に伸ばすことができなくなる『ロッキング(locking
)』
(2)膝くずれがおこる。『ギィヴィングウェイ(giving
way )』
この様な症状を放置すると、膝に水がたまったり、ついには関節軟骨が障害されて、運動ができなくなることにもなりかねません。
《処置》
先に述べたように、半月損傷であれば自然に治ることはないので、膝の異常を感じた時は、早めに整形外科を受診して、検査を受けることをお勧めします。 |
《鑑別疾患》
・骨軟骨骨折
・前十字靱帯損傷
・離断性骨軟骨炎
・変形性膝関節症
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