外反母趾と足部変形

Q38  
 中学生になってから、陸上部に入部しました。もともと外反母趾があり、最近走ると足の親指の付け根や足の内側が痛くなり、走れなくなります。もう陸上は、続けられないのでしょうか。

 
A38  
 外反母趾は、足の親指がつけ根から外側を向いた変形で女子の選手によく見られます。特にひどい変形でない限り日常で問題になることはないと思いますが、運動部で激しい練習を繰り返したり、変形した部分にストレスがかかりすぎるような状況が加わると痛みが出てくることがあります。

 また、外反母趾はしばしば他の変形も合併しています。それは、扁平足と踵の骨が内側に傾く回内足という変形です。(図1参照)

 元来、外反母趾は体の軟らかい選手に生じることが多く、軟らかすぎるゆえに変形をおこしやすく、いくつかの変形を合併することになります。したがって、足の様々な部位に痛みが出現することになります。

 外反母趾では親指の付け根の内側が盛り上がってきて、シューズにすれて痛みをおこします。

 扁平足は、本来あるべき足の縦軸アーチと横軸アーチが消失しているため、足の裏などの痛みをおこします。

 また、回内足ではうちくるぶしの下の部分の骨が隆起しここに痛みを生じます。

 これらの痛みが生じる付加的要因としては、ランニングフォームが悪かったり、シューズが変形したり、シューズの内側が減ってしまうというようなことが挙げられます。

 



《対策》

(1)ランニングフォームに異常がないか確かめ、異常がある場合はフォームを改善する。
  足先を外に向けて走るフォームの場合、親指の腹で地面をとらえることができず、親指の付け根に負担がかかり、
 痛みが生じる。
(2)シューズの底や中を調べ、片べりしているものは早めにシューズを交換する。
  足に変形がある場合、シューズが古くなると踵の部分が内方にずれてきたり、内側の底が片べりしてくる。そうなると
 足の変形を強めることになり、痛みが生じる。(図2)
(3)足の変形がある場合、その変形を修正するようにシューズにインナーソールや衝撃吸収材を入れる。
 ・土踏まずを盛り上げたり、踵の内側を高くして踵の骨の傾きを修正する。
 ・骨の隆起した部分がすれて痛い場合は、その部分を保護するパッドを張りつけて圧迫を緩和する。

《鑑別疾患》

 疲労骨折、腱鞘炎、胼胝(たこ)、バニオン

 

 

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