●RICE療法

Q7  
 バレーボール部のコーチをしています。選手がけがをした時、すぐにできる応急処置を教えて下さい。

 
A7  
現場における基本的処置として、RICE 療法があります。これは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation (高挙)、の頭文字を並べた言葉です。この処置を具体的にいうと、筋肉を挫傷したとき、関節を捻挫したとき、骨折をしたときなど、ほとんどのスポーツ外傷に適用できる最初の治療法です。この早期のRICE処置が、傷害の予後を決定すると言っても過言ではありません。

 

《処置》

【Rest(安静)】
 けがをしたらすぐに運動を中止して、受傷部位を動かさないように患部の安静を保つ。損傷の程度によっては、副子、ギプスによる固必要となる。

【Ice(冷却)】
 内出血による腫脹を最小限におさえるために受傷直後は患部を冷却する。冷却により痛みも軽減する。しびれ、けいれん、痛みが出現したら、ただちに中止するが、それ以外は30分間のアイシングを行う。次いで、皮膚を温め血行を良くするために、15分間包帯をとる。それから再度包帯をする。この手順を3時間繰り返す。凍傷予防のために、氷を直接皮膚にあてないようにする。

【Compression(圧迫)】
 受傷直後から出現する腫脹を最小限におさえるために、圧迫を行う。実際には損傷部位にスポンジなどをあてて弾力包帯で巻くとよいが、血行を妨げ ないよう(しびれ、けいれん、痛み)に注意する。

【Elevation(高挙)】
 受傷部位を心臓よりも高く挙上することで腫脹を防止する。

 

 

 

圧迫および凍傷予防のために伸縮包帯を何周か巻き(A)、受傷部位に氷のうを当て、しっかりと巻き付ける(B,C)、脚を心臓よりも高く挙げて、安静を保つ(D)。 (市川宣恭 スポーツ指導者のためのスポーツ外傷・傷害より抜粋)


図1.RICE 処置の実際

 

 

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