●月経異常

Q9  
 スポーツ選手によくある月経異常にはどのようなものがありますか。またその異常にどう対応すればよいのですか。

 
A9  
 近年、わが国では、オリンピックにみられるように、女子のスポーツへの参加が急増しています。それにともない初経発来の遅延や無月経などの性機能障害にも関心が集まっています。以下にスポーツ選手によくみられる月経異常について、初経のころとその後の正常な月経が確立した頃とに分けて簡単にのべてみます。

1 初経とその異常
 月経の発来はふつう10才〜13才までと考えられています。ちょうどその頃体重は43 〜44Hであり、体脂肪率は17 〜20 %ぐらいといわれています。しかし、その時期より前に激しいトレーニングを行っている選手では、通常、数ヶ月程度の初経の遅延が認められています。また、スポーツの種目によっても差があり、体操など跳躍動作の多い者では顕著な発来遅延がみられています。

  (1)遅発月経・・・15才以上で初経の発来したもの
  (2)原発無月経・・・満18才になっても初経が起こらないもの

となっており、15才で月経のない女子は異常ですので専門医に相談する必要があります。

 また、18才になっても月経のない女子では、染色体検査も含めいろいろな検査が必要となりますので、検査設備の整った病院を受診することをお勧めします。

2 その後の月経異常
 成熟した女性の月経周期は25〜38日(正常周期)といわれており、体重とくに体脂肪の減少、トレーニングからくるストレス、食事の変化、スポーツによるホルモン環境の変化及び遺伝や体質の影響などにより月経異常になります。特に、スポーツ選手では、続発無月経が倍増し、不整周期も高率に見られます。主観的に、スポーツをするのにコンディションの悪い時期は月経期間中と月経前1週間で、よい時期は月経後1 週間くらいから中間期までですが、個人差もあり、月経周期とは無関係に常時よいコンディションにある女性も多々みられます。

  (1) 頻発月経・・・月経周期が短縮し、24日以内で発来した月経。
  
(2) 希発月経・・・月経周期が延長し、39日以上で発来した月経。
  (3)続発無月経・・・これまであった月経が3ヶ月以上停止したもの。
             但し、生理的無月経の場合はこの期間にとらわれない。
  (4)不整周期…上記の正常周期に当てはまらない月経周期。

 3ヶ月間月経がなかったら、心配しなければいけない異常で、さらに長期間の無月経は重症化し、治療が困難になりますので、そうなる前に専門医を受診し、検査・治療を受ける必要があります。

 また、女子スポーツ選手にみられる疲労骨折は、月経異常のある女性ホルモンの低下した者に多くみられます。これは、女性ホルモンであるエストラジオールが減少し、骨量が低下し、骨がもろくなる骨粗鬆症が原因となり、発生するものです。このような女性は、時々骨量を測定し、もし骨量の低下があれば、発症を予防するために、ホルモンの補充療法を主とする治療が必要ですので、専門医を受診することをお勧めします。

 

 

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